おもしろい英語表現

日本人には思いつきにくい英語の慣用表現を取り上げていきます。少しでも覚えて、使って、より生き生きとした英語の使い手になりましょう!

「surge」を「増加」と訳すなら、「surge = increase」なのか?

2020年6月22日のBBCウェブサイトに「World needs leadership, WHO says as cases surge」と題された記事がありました。

 

「”世界にはリーダーシップが必要だ” 感染例増加を受けWHOがコメント」という意味のヘッドラインです。

 

「surge」という言葉は「大きな波のうねり」というのが基本的な意味で、動詞で使われると感情が「沸き上がる」とか物価が「急騰する」という意味になります。

 

どのニュースでもヘッドラインは文字数が限られているため、このsurgeのように短い言葉が好んで使われる傾向があり、この場合も「increase」(増加)という言葉の代わりに使われています。

 

本文には:

World Health Organization records highest one-day increase in total cases, with 183,000 added in one day.

世界保健機構が、一日で18万3千件というこれまでで最も多い一日の感染数増加を記録した、という意味の文章がある通りです。

 

しかし「surge = increase」と安易にとらえてしまうことはできないようです。

 

通常「surge」が増加という意味で使われるときには、あまり好ましくないことが増えているときに使われるのが一般的です。

 

たとえば「surge of death」死亡数の増加という言い方はありますが、「surge of birth」出生数の増加という表現はしません。

 

これは波の大きなうねりという、抑えることのできないものがドッと押し寄せてくる、というのがそのイメージです。

 

つまり人の力ではどうにもできないこと、あまり歓迎できないことを表す言葉だと捉えましょう。

 

このイメージを持っておくと、「surge」を前向きな良い意味で使わない理由もわかると思います。